三月二四日
大阪・天満橋
ホテル・グランドカッスル大阪
保守の大物政治家として、人気を得ていた岡本財務相が、首を吊って死んだ。
「米国債の大量売却という手段もあり得る。俺は何があっても日本の国体は護る」
「日本はやがて、世界中の恒久平和に寄与することができるやろう」
「核兵器が意味をなさない世界の在り方を目指すのは、我々日本国民の責務なんや」
そう、意味深なことを語った矢先、、ホテルの一室での“不審な死”… 彼の部屋には、何者かと派手に争った形跡があった。
そのわずか3日後…茨城・東海村にある日本核燃料研究機構(通称:核研)で、大事件が起きる。
そこには、40年もの間。岡本ら日本政府の有志が、極秘裏に開発を進めてきた装置「SS-8」があった。これが完成すれば、核兵器を含む、あらゆる兵器の脅威を無力化。日本は念願の自立を果たす。はずだった…
しかし、深夜の輸送訓練中…この装置は何者かの手によって、強奪されてしまう。生前から岡本と親交の深かった新聞記者:佐々木は、独自に国家機密の行方を追い始める…
そして明らかになった真実。この兵器を強奪したのは、なんと「光の社」という宗教団体だった。日本の1宗教団体が持つ、異常なまでの資金力。そして、外国の軍隊並みの兵器。手がかりを辿っていくと、その先には、、「光の社」の背後で蠢く“大国”による、国家の乗っ取りをも目論む「巨大な陰謀」が見えてきた…
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この物語は、つい最近起きた“あの事件”とあまりに酷似しているので、驚いた方も多いと思います。しかし、さらに驚くのは、この小説の原稿が概ね書き上がったのは、今から“約5年も前”だということです…
この小説を書き上げた「津谷 一」とは、いったい何者なのか?日本の未来を暗示したようなストーリー展開…ここには何が記されているのか?
現場を知り尽くした人間でしか書けない、複雑に絡み合った情報戦と、国際政治の残酷な現実… ページをめくる手が止まらなくなる。ハイテンポで、リアルなフィクションの世界を、お楽しみください。